天気の子

巷で話題沸騰、ナウなヤングにバカ受け、『天気の子』を見てきました。

君の名は。』ブームに乗れず斜に構えた姿勢を崩すこともできずに
斜めにふんぞり返ったまま映画館の椅子に座った僕でしたが、
ストーリーが進むにつれて、すっかり前のめりになっていきました。

結論から言うとめっちゃ面白かったです。
斜に構えてた自分が恥ずかしくなるほど真っ直ぐで、それでいて度量の広い映画でした。
以降、ちょいネタバレ含む感想です。

誤解を恐れず言うならやっぱり『君の名は。』と同じく若い子がメインターゲットの映画であることには変わりないと思います。
主人公は高校生、とにかく若さに任せて感情的に突っ走る。
すっかり大人になってしまった僕にはとても耐えられない…と思いきや全然大丈夫!
むしろよくやった!と褒めるくらいの気持ちになれる!

というのも主人公を取り巻く環境に多くの大人が出てきて、みんなそれぞれの価値観に基づいて行動してるのが描かれていたから。
特にライターの須賀さんは大人向けの裏主人公とも言えるほど心理描写が豊か。
更にそれが緩急つけながらみるみる変化していくのが大人世代の感情移入にドストライクでした。
子どもから見たら大人かもしれないけど、大人だっていろいろあんだよ。
成人式過ぎたらそこから大人ってそんなわけないんだよ。
夏美ちゃんが就活で悩む姿もそんな気分がハッキリ表現されてて良かったですね。

そんな大人に支えられながら若さを爆発させた結果、終盤大変なことになった東京がさらっと描かれました。
この辺りの表現は『シン・ゴジラ』の蒲田くん襲撃直後の日常再開とも重なり、東日本大震災以降に生きる身としてすごく自然に感じた部分です。
若者の衝動が招いた結果かもしれないけど、それを立証することはできないから社会的にはオカルトで片付けられる。
そもそも長雨による水没は緩やかな変化で、犠牲者が比較的少ないであろうことも考えると悲劇に寄せすぎておらず無駄に悲壮感を煽らないコントロールが好印象でした。

そういう脇役や舞台装置がうまく機能した、青臭いだけじゃなく大人も安心して楽しめる青春映画。
いま若い子が10年、20年経ったあとに見返すとまた捉え方が変わるような深みのある映画だとも感じました。
東京の風景もその頃には大きく変化していくだろうし、それを含めてノスタルジーに浸れると思うと凄く羨ましくありますね。

余談ですが、東京出張のついでに新宿バルト9で本作を鑑賞してきました。
特に何も考えず、ちょうど時間が取れるからという理由でこのタイミングを利用したのですが、
開始5分ほどで大正解な選択をしたことに気づき自分を褒めました。
地方都市の映画館では没入感が少し違ってくることでしょう。