「新興宗教オモイデ教」大槻ケンヂ
- 作者: 大槻ケンヂ
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1993/04
- メディア: 文庫
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去年の五月に買ったきり読まずに「積んどく」状態になってたものを読んだ。
Wikipediaで電波系について読んでて本著について触れられていたため。
電波系 - Wikipedia
ネタバレもあるのでこの先は興味ある人だけ。
下らない世の中、大衆、有象無象を見下し、
教室の隅でいつか何かをしでかしてやろうと企む主人公。
大槻ケンヂは歌の中でもよくそんなキャラクターを描く。
この小説の主人公は人の精神を操る「メグマ波」の最強の使い手として目覚め、
世界を思い通りにするすべを手にする。
主人公はオタクやサブカルにとって感情移入のしやすいキャラクターである。
一般大衆といった「普通」のものを批判し、自分たちの理想を第一とする。
だが力を持とうとはしない。
それがそのチャンスを与えられ、力を手に入れたらどうなるのか。
この小説の面白いとこはそのキャラクターの独白だけではなく、
実際に社会や他者と関わりを持つ姿が描かれているところ。
むしろ主人公は狂言回し的な立場で、
自分と同じように異常な思想、立場を持つ人間の関わりを眺める。
新興宗教の教祖、その信者で元クラスメイトの女の子、
世をすねたバンドマン、政治権力に利用される能力者・・・。
異常な人たちの狂った世界が描かれてるけど、
彼らの精神状況が生々しく描かれていることで
単なる怪奇冒険活劇に終わらないところが大槻ケンヂらしい。
カルト宗教の描写は毎度目を見張るものがある。
戦闘シーンのカタルシスも格別。
筋肉少女帯の曲に出てくるモチーフが出てきたり*1、
もろ曲を連想させる内容だったりするので*2、
筋肉少女帯の曲をまたちゃんと聞きたくなった。