「くるぐる使い」感想

帯にあるとおり「超常現象青春小説集」。
その名に偽りは無い。
短編集なのでとりあえずひとつひとつ感想を。


「キラキラと輝くもの」
これはあんま好きじゃない。
というか読んでてあまりいい気分がしなかった。
だけど他の作品にも通じるモノがあるので、
全部読んで今またパラっと見るとなかなか面白い。
どうでもいいけど兄と妹っていうシチュエーションは
手っ取り早く禁忌をイメージさせるためのパーツみたいな、
そんなお手軽さを感じてしまうんだけど、それは僕がダメか。


「くるぐる使い」
やはり表題作のコレで一気にこの世界観に引き込まれた。
大道芸人の口上が刻むリズム、テンポが絶妙。
話自体はこじんまりとしてるけど設定がしっかりしていて
よく出来ているなあ、と感じさせる。


「憑かれたな」
超常現象を合理主義で切り捨てるスタイルがここでも光る。
見たこと無いけど「TRICK」ってこんなノリのドラマなんですかね。
途中で超常現象に解説を入れているので、そのままいくと思うと
一筋縄では行ってくれないのが楽しい。


「春陽綺談」
「ディスコミ」と「鬼太郎」を足した感じの話。
滝田六助のキャラが良い。
ここでも兄と妹のシチュエーションがあるがこちらのタイプは
見ていて気持ちが良いので個人的にOK。
春陽も六助も大槻ケンヂ本人なんだろうなぁ。


「のの子の復讐ジグジグ」
タイトルがモロ筋少っぽい。
電車で読んでたら泣きそうになった。
特に深読みとかせずに単純に読んでたら。
また読んだら別の感想を持つんだろうなぁ。


「巻末特別対談」
糸井重里との対談。
延々と超常現象とかオカルトについて駄弁ってる。
バカバカしくて良い。


全編にわたって家族についての記述が出てくる。
頼りになったりならなかったりなんだけど
そこにはキチンと愛があるのを感じる。
心地よい感じだった。


なんかネタバレとか気にしてたら
感想じゃなくなった感もあるけどまあブログっちゃそんなもんだな
と割り切ってここで終わり。