「ノーライフキング」いとうせいこう

ノーライフキング (新潮文庫)

ノーライフキング (新潮文庫)

空前のヒット商品となったディス・コン・ゲーム「ライフキング」。ある日、そのソフトをめぐる奇怪な噂が子供たちのネットワークを駆け抜けた。「『ライフキング』には呪われた第5のバージョンがある」。学校で、塾で、そして電話回線の中で噂は増幅し、変貌し、ついに臨界点がやって来た―。世界を破滅から救うため戦闘を開始した子供たち。今、彼らはゲームを越えた。

ちなみに1988年にハードカバーで出た本なんだけど、
内容はかなり情報社会を予知してる。
今読んでもメッセージが遜色ない。
むしろ当時よりも15年以上も経った現在、
そのメッセージの意味が増している。
いとうせいこうの才能に驚かされた。


水田という人物が出てくるんだけど、
僕には彼の存在がこの小説の中でも
かなり浮いた存在のように思えた。
作者が自分の姿を作品中に投影するというアレかもしれない。


コージくんが「読んだけどよく分からんかった」って言ってたのを
思いながら読んでたんだけど、
僕が情報を専攻してるせいか比較的素直に読めた。
ところどころで混乱しそうな部分はあったけど
ちゃんと解釈はつけることが出来るいい作品だと思う。
ウワサ話やネット上の問題が現実に影響を与える、なんていうのは
まさに僕がいま学校で勉強してることだし、
それを極端に事件に仕立て上げる手順は見事。
こういう話が昭和に書かれた、という事実がやはり衝撃である。


また落ち着いたらコージくんとは読者同士話し合ってみたい。